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デジタル化の動向

デジタル化の動向

 

感染症の流行によりソーシャル・ディスタンスを取ることが社会生活に要求されるようになりました。そのためウェブでの会議や在宅勤務などでデジタル技術を使用する場面も増えています。

2021年版中小企業白書では、感染症流行前後のデジタル化に対する意識の変化を紹介しています。

いずれの業種でも感染症流行後には事業方針におけるデジタル化の優先順位は高くなっています。産業全体で見ても「事業方針上の優先順位は高い」と「事業方針上の優先順位はやや高い」を合わせると6割以上となります。
 

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ではデジタル化は事業において、どの程度重要と捉えられているのでしょうか。

従来は、事務作業や生産活動の効率化を目的にデジタル化が進められていました。それが次のグラフを見ると、66.4%もの企業が事業継続力の強化にデジタル化が重要であると意識していることが分かります。

もはや生産性の向上のレベルだはなく、事業そのものの存続にかかわる課題としてデジタル化を意識しているようです。

 

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デジタル化への取り組みは、ソフトウェア投資によっても確認できます。

次のグラフは企業規模別にソフトウェア投資の推移を調べたものです。大企業は2010年以降上昇傾向です。しかし中小企業は2018年中ごろから低下し、現在は横ばいの状態です。

 

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次のグラフは売上高IT投資比率と労働生産性の伸び率を見たものです。

白書では、両者の間では明瞭な因果関係は確認できなかった、と結論付けています。その理由として、大規模な投資の場合、導入期間が長期化し、従業員が新システムに習熟して効果が現れるまで時間がかかる可能性を指摘しています。また小規模な投資の場合、導入期間は短いですが、影響が及ぶ範囲も比較的小さいため導入効果が短期間で顕在化する可能性を指摘しています。

尚、ここでの売上高IT投資比率は、ソフトウェア投資額(2014年度から2018年度までの合計額)÷売上高(2014年度から2018年度までの合計額)で算出しています。労働生産性に関しては、付加価値額合計÷従業員合計で算出しています。付加価値額とは、営業利益、給与総額、減価償却費、福利厚生費、動産・不動産賃貸料、租税公課の合計です。

 

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(図表は2021年版中小企業白書より引用)