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感染症前後の変化

感染症前後の変化

 

2020年当初は未知のウィルスであった新型コロナウィルスですが、企業間の取引に与えた影響はどの程度のインパクトがあったのでしょうか。

次のグラフは企業間取引において、最も多くの取引を行っている顧客との感染症前後の受注量の変化を業種別に見たものです。前年同月より受注量が減少したと答えているのは製造業で74%、サービス業で53%、その他で57.2%と多くの企業において受注量が減少しています。またどの業種においても受注量が50%超減少している企業が1割程度存在しています。

一方、増加したと回答している企業は4.3%から4.6%の幅に収まっています。ここまで近い値となったのには、何か理由があるのでしょうか。 

 

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中小企業白書では、競合他社と比べて総合的な優位性の有無が受注量の変化にどのような影響を与えているかも調査しています。次のグラフで優位性を持っている企業の方が受注量が減少したと答えた企業の割合が低いことが確認できます。

優位性を持つことの効果が表れていると考えられます。

 

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受注量に関しては、減少してしている企業が多いことが確認できました。では受注単価は変化したのでしょうか。それを次のグラフで確認することができます。

最も多く取引を行っている顧客との受注単価の変化について確認しますと、いずれの業種でも8割以上の企業が「変化なし」と回答しています。減少した企業は1割強にとどまっています。

 

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更に決済条件に関して調べたのが次のグラフです。最も多く取引を行っている顧客との決済条件は、感染症流行の前後ではほとんどの企業が「変化なし」と回答しています。

 

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中小企業白書では感染症流行以前において最も大きな影響のあったリーマン・ショックとの比較も行っています。リーマン・ショック時と比較して不合理な計画変更や値下げなどの要請がどのような実態であったのか、次のグラフで確認しましょう。

するといずれの業種も「リーマン・ショック時と比較して強まった」と回答した企業が約半数存在することが分かります。

 

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感染症流行の前後では、受注量の減少はありましたが、受注単価、支払い条件においては大きな変化はなかったようです。しかし、不合理な計画変更や値下げの要請は一定数の企業が経験していることが伺えます。

 

(図表は2021年版中小企業白書より引用)