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成長企業のターゲット市場

成長企業のターゲット市場

 

経営戦略策定の起点として、ターゲット市場と自社の経営分析が多いことは先のデータで確認しました。

では、実際にどのような分析を行って経営戦略を策定しているのでしょうか。

まずはターゲット市場に関して、その分析の詳細を見ていきましょう。

 

 

上記のグラフはターゲット市場をどんな視点で分析したのかを調査したものです。

一番多いのは「ターゲットとする顧客の特徴」であり62.3%、次いで「競合他社の製品・商品・サービスの特徴や参入動向」であり59.2%となっています。

分析の結果、どんな市場を選んだのでしょうか。

 

 

選定した市場では、「どちらかといえば競合他社が少ない市場」が最も多く41.8%です。一方、「競合他社が多い市場」も16.9%ほどあります。競合他社が多ければ、それだけ競争も激しいことが想定できます。では競合他社はいないほうが良いかと言えば、そうでもなく「競合他社がほとんどいない市場」を選んだのは5%程度です。競合他社がいないということは、市場の規模が小さい、技術的・商慣習的な参入障壁がある等競合他社も参入しない理由があると思われます。

では競合他社が多ければ競争が激しくなると想定できながら、なぜそのような市場を選んだのでしょうか。

 

 

「非効率な部分を標準化して効率化することで、競争優位に立つことが可能」と「競合他社にない製品・商品・サービスが提供でき、差別化を図ることが可能」を理由とする企業は、それぞれ「当てはまる」と「どちらかといえば当はまる」を合わせると7割以上存在しています。何らかの要因により競合他社の多い市場であっても、優位性が発揮できると考えているようです。

また「市場自体が大きいため、参入すれば一定の売上高・利益を確保することができる」では、「当てはまる」と「どちらかといえば当てはまる」を合わせると6割強となっています。「市場自体が成長しているため、参入すれば一定の売上高・利益を確保できる」では、「当てはまる」と「どちらかといえば当てはまる」を合わせると5割強となっています。競合他社との優位性よりも、規模や成長性に魅力を感じて市場を選定している様子が見て取れます。
競合他社との優位性を築くにも、規模や成長性に期待できる市場を選ぶにも経営資源は不可欠です。

ターゲット市場を選ぶ際、必要となる経営資源をすでに確保していたのでしょうか。

 

 

「確保できていた」と「どちらかといえば確保できていた」を合わせると約8割になります。

経営資源の裏付けがあればこそ、ターゲット市場を選ぶことができたことが分かりました。

 

(図表は2023年版中小企業白書より引用)