マネジメントの第一歩

ビジネスのヒントを綴っています

後出しジャンケン

後出しジャンケン

 

ジャンケンが後出しOKならば、負けることはないでしょう。ビジネスにおいては、一般的に先行したほうが有利にビジネスを展開できますが、後出しができる場合、より有利に展開できるケースもあります。特に新たな市場に参入する場合、後発の企業が優位にビジネルスを進めることができることを、経営学では後発優位性と呼びます。

 

後発の企業には、次のメリットがあります。

①ニーズの存在が明らかとなった市場に参入できる

市場に参入しようとする商品が画期的であればあるほど、本当に売れるのか、どの程度売れるのかが分かりません。勢い込んで参入してもニーズが存在しなければ、ビジネスは失敗してしまいます。しかし後発の場合、先発が失敗すれば市場への参入を見送れることができます。また先発がニーズを開拓した後で参入すれば、確実に消費者がいることが分かっていますので成功する確率を上げることができます。

 

②広告宣伝費を節約できる

先発企業が既に消費者に商品の存在を知らしめています。新しい商品を消費者に認知してもらうには多額の広告宣伝費が必要となりますが、後発企業にはその必要がありません。広告宣伝活動を消費者への認知ではなく、先発との違いを訴えることに注力できるのです。

 

③模倣により研究開発費を負担しなくてもよい

後発企業は、一から研究開発を行うのではなく、先発企業の改善を行うことで製品を企画・製造できます。ジェネリック薬品は、膨大な開発費を負担していないので安価で販売することができます。

 

④消費者の変化に対応しやすい

消費者ニーズが変化しても先発企業は既にある程度の消費者を顧客としていますので、迅速に変化に対応することが難しくなります。顧客ニーズの変化に対応しようとすると、不良在庫を抱えるたり、従来のままのニーズを持つ消費者から反感を買う可能性があります。一方、後発企業は消費者ニーズの変化を確認してから市場に参入すればよく、先発企業のようなリスクに対応する必要がありません。

 

⑤技術面での不確実性を見きわめることができる

新しい技術や商品には、使用してみないと分からない不具合が生じる可能性があります。設計時のシミュレーションや出荷時の品質検査でも全ての使用場面を想定して試験するのは困難ですし、費用も掛かります。コンピューターソフトでは発売後に判明したバグへの対応のため、パッチを配布するのは当たり前のように行われています。後発企業は先発企業の技術上での問題を解決してから市場に参入することが可能です。