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同調圧力

同調圧力

 少数意見が多数意見に合わせるように誘導される現象。

 

【解説】

 同調圧力は平たく言うと、「空気を読んでみんなと合わせろ」ということです。みんなに合わせなければ異端者として見られ、組織やグループから浮いた存在になってしまいます。

 少数意見が多数意見に飲み込まれるには、いくつかのパターンがあります。

①多数意見に従うことを強要される(脅迫)

②多数意見に従わなければ無視される(シカト・村八分

③多数意見に従わないことが反社会的であると烙印を押される(自粛警察)

④多数意見に従うことが正常であり、従わないことが恥と見なされる(非国民扱い)

⑤多数意見に従わないと周囲に迷惑をかけてしまう雰囲気がある(KY扱い)

 

 同調圧力を受けた結果、今度は自分が他の人に同調圧力をかけてしまうことに発展することがあります。これを循環ダイナミクスといいます。組織として健全な状態とは言い難いですね。

 

【信憑性】

日本はコンテクスト度が高い社会ですから、同調圧力も強く働きます。同調圧力は、コンテクスト度が悪い方向で働いた例と言えるでしょう。職場では、次のような事態を生じさせます。

①周囲が残業しており、定時で帰りにくい

②有給取得率が低く、自分だけでは有給休暇を取りにくい

③上司や先輩の飲みに行く誘いを断れない

フェイスブックやLINEを利用しないと不思議がられる

これらの状況ならばまだしも、経営方針の決定や職場のルール作りの際に同調圧力が働くと好ましからざる事態を招くリスクがあります。そのような場で有無を言わせず全会一致で合意を得ようというケースで働く力を、斉一性の圧力と呼びます。

 

 【適用例・対処方】

同調圧力を受けたらどうしたらよいのか。「長いものに巻かれろ」とばかりに同調しても弊害がないのであれば、「波風立てない」と同調してしまうのも一つの方法かも知れません。

しかし、不当な同調圧力や弾圧に抵抗しなければならない場面もあるでしょう。

そのような時の対処法としては、以下のようなものがあります。

 

①自分の立ち位置を明確にする

たとえ多数派であろうとも理不尽な意見や間違った意見であれば、反論しなければならないでしょう。そのためには、多数派にのみこまれないように自分の意見、立ち位置を明確にしておく必要があります。

 

②立ち止まって冷静に考える

自分が同調圧力に流されていないか、一度、立ち止まって冷静に考える必要があります。その結果、多数の意見に従うことが正しいと判断されればともかく、正しくないと考えるのであれば異論を唱えなければならない場面も生じるでしょう。

 

③受け流す

些細な同調圧力であれば、受け流すことで処理しましょう。職場で「少々変な奴」と思われても、以後の同調圧力から解放されるのであれば「良し」としましょう。

 

④悪辣な場合は記録しておく

パワハラまがいの悪辣な同調圧力を受けた場合、最悪、退職や裁判で争うことにもなりかねません。後々必要となる証拠として、いつ、どんなことをされたのか記録しておくことをお勧めします。

 

進んで争いを起こす必要はありませんが、不当な同調圧力に屈してしまうのはストレスになりますし、自分を偽ることにもなりかねません。場の空気よりも自身の精神状態を大事にしたいものです。