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エコーチェンバー現象

エコーチェンバー現象

自分に近い意見や情報ばかり集まる空間にいると、自分の意見が正しいと思い込んでしまう現象。

 

【解説】

 エコーチャンバーとは、音楽録音用の残響室の事です。閉鎖された空間で音が残響を生じるように設計されています。

そこから転じて、閉じられたコミュニティーで同じ意見の人ばかりが話をしていると、同じ意見が反復されてしまいその意見や特定の情報がどんどん強化されていくことになります。この現象をエコーチャンバー現象またはエコーチャンバー効果と呼びます。

世の中には多様な意見があります。しかしこの現象が生じていると、自分たちと違う意見に触れることがないため、あたかも自分たちの意見が正しいと思い込んでしまいます。それが例えエコーチャンバーの外部の人間にとって奇異な意見であっても、エコーチャンバー内部の人間にとっては唯一の公式見解となってしまうのです。

 

【信憑性】

 エコーチャンバー現象という言葉は、インターネットが普及する前の1990年に既に存在していました。それが一般的に使われるようになったキッカケは、2016年のアメリカ大統領選挙です。

インターネットには、誰もが意見を発信できて多様な意見が活発に交わされ世界規模で人々が繋がる、という期待がありました。しかし実際には、閲覧したニュースに近い意見の情報がサイト運営者によって選別されて表示されたり、「いいね」や「リツイート」により同じ意見の人だけがコミュニティを作りやすい状況を生み出しています。

このようなコミュニティでは、同調する意見ばかりが交わされて批判する意見は排除されてしまいます。

 

【適用例】

エコーチャンバー現象に政治的意見や宗教がからんでくると、社会に対立を生む可能性があります。この言葉自体はあまりいい意味で使われない言葉です。例えば過剰な労働を強いるブラック企業や経営破綻したような企業の内部には、エコーチャンバー現象に似たようなことが起きていたのではないでしょうか。内部の価値観が正当であると思い込み、社会からどのように見られているか第三者的に判断できなくなってしまう。そのような事態が生じていた可能性があります。

他山の石として、自社にエコーチャンバー現象が生じていないか自戒してみる必要がありそうです。