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中小企業の売上高

中小企業の売上高

 

2021年版中小企業白書による2020年の従業員規模別の年間売上高のデータです。2019年の売上高を「100」として増減を調べています。従業員規模が小さくなるほど75未満の企業が増えていることが確認できます。

但し、調査時点は2020年11~12月であり、2020年10~12月の売上高については見通しに基づく数値となっています。

 

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 次に業種別で売上高の増減を見てみましょう。白書では100未満、つまり2019年より売上の下がった業種として宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業を指摘しています。また建設業においては、売上が減少した企業の割合が少なくなっています。

 

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 2020年間を通して前年並みの売上高を確保できても、新規感染者の増減や政府・自治体の休業・営業時間短縮等の要請により単月で前年比を見た場合、売上高が減少している月もあるでしょう。そこで2020年1~10月において、前年同月比で最も売上高が下がった月を業種別に調べたものが次のグラフです。

緊急事態宣言が発出された4月、5月で最も売上が減少した業種は、宿泊業、飲食サービス業であり両月を合わせると8割超となっています。一方、建設業、製造業、卸売業では7月以降の回答が4割となっています。日銭商売型の業種は客数の減少が売上の減少に直結しますが、受注から納品まで月日を要する業種では売上の減少が遅れて発生している様子が伺えます。

 

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 では実際、どれくらい売上高が減少したのでしょうか。次のグラフは、業種別に前年同月比で最も売上高が減少した月の売上高を示しています。宿泊業では86.7%、飲食サービス業では63.1%もの企業が前年と比べて50%以上も売上高が減少していると回答しています。この2業種が突出していることが確認できます。この業種は2019年における損益分岐点比率が100%を超える企業が多かった業種であり、相当経営に大きなダメージを負ったことが想定できます。(本ブログ「中小企業の経常利益率」参照)

 

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 (図表は2021年版中小企業白書より引用)