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2022年中小企業・小規模企業の現状(1)

2022年中小企業・小規模企業の現状(1)

 

2022年における中小企業・小規模企業の現状はどうであったのか。

収益および設備投資の状況を確認いたしましょう。

まずは大企業と比較して企業規模間での売上高の傾向を見ていきます。

 

 

2011年第3四半期頃から売上高の額が中小企業よりも大企業の方が多くなっています。2011年の東日本大震災によって中小企業の売上高は大きく落ちこんでいます。大企業と比べ輸出割合が低く国内市場がメインである中小企業にとって、東日本大震災の影響は大きかったことが伺えます。

その後、2013年頃から横ばいで推移しますが、2016年半ばより増加傾向に転じています。しかし2019年以降に減少が始まりました。感染症の流行により更に減少、2021年第1四半期にようやく底を打つと、以後は増加傾向で推移しています。

 

では中小企業の売上高の推移を業種別に見てみましょう。

 

2020年は、「運輸業・郵便業」「小売業」以外の業種は全て2019年より減少しています。特に「生活関連サービス業、娯楽業」の落ち込みが激しいです。2021年になると「情報通信業」が増加に転じ、2022年になると「建設業」も増加に転じています。特に「情報通信業」の伸びが著しいですが、「生活関連サービス業・娯楽業」と「宿泊業・飲食サービス業」は引き続き厳しい状態が続いています。

 

次は経常利益において企業間の推移の違いを見ていきましょう。

 

中小企業の経常利益はリーマン・ショックの落ち込み後、回復基調にありましたが2020年になると感染症の流行の影響を受けて再び減少しています。2020年第3四半期に底を打つと、緩やかに増加しはじめ感染症流行前までと同水準に回復しています。

一方、大企業の経常利益の増加幅は中小企業をはるかにしのぐ規模であり、直近では14.3兆円と中小企業の5.2兆円の3倍近くの額となっています。

 

企業は利益で株主への配当や内部留保などを行いますが、将来の成長に向けて設備投資も行う必要があります。

その設備投資の推移を大企業と中小企業で比較してみましょう。

 

 

中小企業と比べると大企業の設備投資は、2倍弱の額で推移しています。

中小企業における推移を確認しますと、2016年以降はほぼ横ばいです。2021年からは緩やかではありますが、増加傾向にあります。

 

次のデータは2017年と2022年において、設備投資における優先度を確認したものです。

 

 

2017年は「維持更新」が57.4%と最も高い値でした。しかし2022年になりますと、「生産(販売)能力の拡大」が52.5%、「製(商)品・サービスの質的向上」が49.2%と「維持更新」の48.1%よりも高い値となっています。2017年よりも積極的な目的で設備投資を行っていることが読み取れます。

また「情報化への対応」が25.8%から40.3%、「省力化合理化」が28.1%から37.8%と伸びていることが確認できます。

 

(図表は2023年版中小企業白書より引用)