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企業間取引・価格転嫁の現況

企業間取引・価格転嫁の現況

先に原材料や資源価格の高騰が中小企業に与える影響を見ました。

ここではそのような製造原価を押し上げる要因が、企業間の取引において価格に転嫁されているのかを確認致します。

 

 

交易条件指数とは、販売価格DIから仕入価格DIを差し引いたものであり、この差が小さいと仕入価格の上昇分を販売価格に転嫁できていないことになります。1990年代前半から大企業と中小企業の交易条件に乖離がみられます。共に感染症の流行により交易条件が悪化しています。2022年になり共に改善の兆しが見えますが、感染症流行以前の水準には戻っていません。

 

更に製造業においての価格転換力を企業規模別に確認いたしましょう。

 

 

上のグラフは、日本銀行の「全国企業短期経済観測調査」と「企業物価指数」から算出した企業規模別の価格転換力指数です。大企業、中小企業ともに感染症の流行前には加価格転換力が上昇していますが、流行後には低下しています。直近では大企業では回復の兆しが見えますが中小企業は低下を続けており、その差は大きくなっています。

 

企業活動には様々なコストが発生します。次のグラフはコストごとに価格への転嫁を調べたデータです。

 

 

2022年3月と2022年9月の各コストの価格転嫁の状況を確認しますと、「原材料」で価格転嫁が改善したことから、「全体コスト」でも改善の結果となっています。

しかし、「労務費」では転嫁が改善せず、「エネルギー価格」では、悪化しています。

コスト上昇の価格転嫁は一筋縄ではいかないようです。

 

(図表は2023年版中小企業白書より引用)