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中小企業の競争戦略

中小企業の競争戦略

 2020年度版中小企業白書(以下:白書)に面白いアンケートやデータが紹介されています。

競争戦略と言えば、マイケル・ポーターの3つの競争戦略が有名です。他社との優位性と対象市場の観点で、低価格で広い市場を狙う「コスト・リーダーシップ戦略」、他社と差別化して広い市場を狙う「差別化戦略」、そして特定の市場を狙う「集中戦略」の3つの戦略です。

白書では、「集中戦略」を低価格で競争する「コスト集中戦略」と差別化で競争する「差別化集中戦略」とに分けて、自社がどの戦略を採用しているかを中小企業を対象にアンケート調査をしています。

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 業種別の中小企業の競争戦略のアンケート結果です。

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全体として差別化集中戦略が多い結果となっています。但し、「小売業」では47.8%、「宿泊業、飲食サービス業業」では52.3%と、その業態から広い市場を対象とした差別化戦略を採用している結果となりました。

 

続いては、競争戦略別の営業利益率です。

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差別化集中戦略が3.4%と一番高い結果となっています。やや意外なのは、2.9%の差別化戦略よりもコスト集中戦略のほうが3.0%とわずかですが高くなっています。ターゲットの設定がうまくいけば、コスト集中戦略でも営業利益率を高くできる、ということでしょうか。

 

白書では差別化集中戦略において、どのように市場を絞り込んでいるかを調べています。絞り込みの方向として、次の2点を指摘しています。

①特定市場に経営資源を集中させることで、参入障壁を築きやすい

②量的に小さい市場を対象にすることで、業界リーダー企業が参入しにくい

 

また絞りこむ方法として、活動地域を限定したり、量産品ではなく多品種小ロット品を受注する方法が挙げられています。

市場を絞り込むため、常に技術・ノウハウを磨く努力、自社で市場の裾野を広げる取り組み、磨いた技術・ノウハウを新たな事業領域、事業分野に展開していく取り組みの重要性も指摘しています。

 

(図表は2020年度版中小企業白書より引用)