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人事制度と売上高

人事制度と売上高

 

能力開発により従業員の能力を高めても、実際の業務に発揮してもらわなければ企業に取っては単なるコストになってしまいます。高めた能力を発揮してもらうには従業員のモチベーションを向上させる必要があります。そのためには従業員の業務を正当に評価する人事制度と賃金制度が不可欠です。

今回は、人事制度について見ていきます。

まずは従業員規模別に見た人事評価の手法です。

 

どの規模においても「目標管理制度」が最も多い人事制度となっています。興味深いのは規模の小さな企業でも「360度評価」や「コンピテンシー評価制度」などを採用している企業が、規模の大きい企業と比べても遜色ない割合で存在していることです。

人事制度があるのとないのとでは、売上高に差はあるのでしょうか。

下のグラフは、従業員規模別に見た人事制度の有無が売上高に与えた影響です。

 

いずれの規模の企業でも人事制度がある企業の方が売上高の増加率が高いことが見て取れます。これについて2022年版中小企業白書では以下の指摘をしています。

「一般的に、人事評価制度は、従業員の配置や処遇の基準になるだけでなく、企業のビジョンや経営方針の浸透、適切なフィードバックによる従業員の育成などにも効果があるといわれているが、企業の成長性の面から見ても、人事評価制度を導入することの重要性が示唆される。ただし、人事評価制度は、導入すればよいというものではなく、導入後に、適切に整備・運用し、公正な評価を行うことが必要であり、こうした観点も忘れてはならない。」

 

そこで人事制度の見直し状況別に売上高増加率のデータも紹介します。

 

「数年に1度など定期的に見直している」企業では、12.8%の売上高増加率となっています。これに対して「10年以上見直していない」企業では、0.2%に過ぎません。人事制度を作るだけではなく、経営環境の変化や労働意識の変化等を踏まえながら、見直していいくことが企業の成長には必要となります。

 

(図表は2022年版中小企業白書より引用)