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成長企業の新規事業創出

成長企業の新事業創出

 

経営戦略の類型を分類したモデルとしてイゴール・アンゾフの「成長ベクトル」が有名です。「成長ベクトル」では市場を既存の市場と新規の市場に分け、自社の製品・商品・サービスを既存と新規に分けて「市場浸透戦略」、「新商品開発戦略」、「新市場開拓戦略」、「多角化戦略」の4つの戦略に分類しています。

2023年版中小企業白書では、「市場浸透戦略」を既存事業拡大とし、「新商品開発戦略」、「新市場開拓戦略」、「多角化戦略」の3つを新事業創出を位置付けています。その上で成長企業の新事業創出に関して、分析しています。

 

 

まずは直近10年間における既存事業拡大と新規事業創出への取組の状況です。

 

 

成長企業のうち59.8%の企業が既存事業拡大に取り組み、51.7%の企業が新規事業創出に取り組んでいます。新規事業創出には新商品開発も含まれていますので、高い値になったと思われます。

ではそれぞれの取組が自社の成長にどの程度、寄与したのでしょうか。

 

 

既存事業拡大では、「大いに寄与した」が31.7%、「ある程度寄与した」が60.7%であり、合わせると92.4%の企業が自社の成長に寄与したと考えています。

新規事業創出では、「大いに寄与した」が26.6%、「ある程度寄与した」が56.7%であり、合わせると83.3%の企業が自社の成長に寄与したと考えています。

企業の成長には、既存事業の拡大と新規事業の創出がともに欠かせない要因であることが分かります。

新事業を創出する際、どのような経営資源を活用したのか。

次のグラフは新規事業創出に取り組んだ際に、既存事業で培った経営資源を活用したかを調べたものです。

 

 

「大いに活用した」が37.5%、「ある程度活用した」が52.2%です。合わせると92.7%の企業が既存事業で培った経営資源を新規事業創出に活用しています。

その既存事業で培った経営資源ですが、活用した企業と活用しなかった企業での新規事業創出での成長の寄与度に関して、確認しましょう。

 

 

活用した企業における「大いに寄与した」が28.4%、「ある程度寄与した」が59.1%であり、合わせると87.5%となります。

活用しなかった企業における「大いに寄与した」が15.0%、「ある程度寄与した」が35.4%である、合わせると49.4%です。

既存事業で培った経営資源が、新規事業創出に貢献していることが分かります。

 

(図表は2023年版中小企業白書より引用)